昔のテレビ版はおぼろげな記憶しかなく、もう一度みたくなりビデオ探しました。

結局見つけたのは映画版。TV版より短いが2時間越えて長い。

それでもテレビに比べれば大勢のキャラをさばくのは至難の業で、里見助教授の心境や家庭での暮らしぶり、東教授の娘の絡みなど、かなり省かれているので流れが随分唐突に感じる。

何より主役である財前に後半の見せ場がなく、ヒゲを蓄えてえらそーになった田宮二郎はただの「悪い阿部寛」で終わっている。母親とのエピソードや、妻、里見との絡みもなく、彼のハングリーな上昇志向を支えるものが何なのかがわからない。

その年のキネ旬1位らしいけど、教授選と誤診裁判の2つを盛り込んだのは苦しかった。丹念にそれぞれのキャラが描かれるTVシリーズが見たくなった。キャストもかなりダブってるし。

脇役のキャラ合戦は秀逸。義父の町医者は石山健二郎という人で、ハゲ頭の豪快な大阪人。西田敏行も痛快だが、たぶんこれを見てズラを付けてでもキャラ造りしなきゃならないと思ったのではないか。鵜飼の小沢栄太郎も現実主義なセコさとプライドがないまぜになったやらしいキャラで、伊秩さんもかなり意識してるかんじ。

これだけの権謀術大会の渦中で、大河内や里見のピュアさかげんは宇宙人的。あまりの価値観のギャップに、見ている方は「何を眠たいことゆうてんねん!」とイライラし、裁判での加藤嘉の裏返りそうなハイトーンボイスに爆笑する始末。

こんな不遜な見方しかできないのは、腐敗が当たり前の現代に見たからでしょうか、それとも、映画より先に次の手がいくつも浮かぶくせに、会社ではひたすら窓際コースを突き進んでる私自身の資質によるものでしょうか。
(☆3つ)

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